peace
いろんなことがあった。
本当にいろんなこと。
もう二度と離れないと、ずっと思っていたけれど。
神様は、意地悪だった。
戦争は終結した。
ザフトの主要基地であるカーペンタリアは壊滅。
そしてアンノウンであり、世界を恐怖に陥れた機体。
フリーダム。
この機体の出現により、世界は震撼し停戦条約の締結へと至った。
オーブは一切この機体に関与していないと発表。
最初は、AAを匿っていたことなので非難をされた。
しかし、各国がこのアンノウンの詳細を分析したが、どの国も結局どこの機体か特定できなかった。
オーブへの批難の声も次第に薄まった。
イザークは帰ってきた。
愛する人のもとに。
離れていた時が、さらに二人を強い絆で結んだ。
そして世界に平和が訪れた。
地球連合の上層部は、人事が一掃され、プラントも新たなる指導者のもとで、新政権が発足した。
オーブにもまた、平和が訪れた。
AAは地球連合に戻り、カガリは代表として忙しく働いている。
キラは、カガリの補佐という役職についたが、軍司令官の肩書きも背負った。
イザークは精神的な疲れがあるということで、まだ何も行動にうつしていない。
キラもカガリもこの戦争になる前は学生だった。
学生に戻るという手もあったのだが、キラはイザークを一人おいてプラントに戻ることなど出来ないということで、
オーブにとどまった。
イザークがキラの下に帰って来て、一ヶ月。
あの大惨事の後、キラとイザークは片時も離れることはなかった。
カガリや周りの人間もそれをとがめることはなかった。
むしろ微笑ましく見守っていた。
最初はベッドの上で過ごすことが多かったイザークも、大分回復し、現在ではキラの仕事を手伝うまでになった。
一緒に仕事をして、食事をして。
一緒に寝て。
毎日のように愛を確かめあって。
楽しい日々が続いた。
イザークが帰ってきてから、彼女の体調が悪く無い日以外はほとんど、キラはイザークを求めた。
元々淡白なキラだったが、彼女が自分の元を離れて以来、ちょっとでもいないと不安になったようだ。
触れ合えなかった時間をさらに埋めるように。
愛をお互いに刻み合うように。
同じ部屋に住み、ほとんど夫婦のような生活をしているといってもおかしくない二人だった。
「ん…んっ…き・・・きらァッ」
今もキラがイザークに多いかぶさり、自身を深くイザークに穿っている。
ベッドが汚れないように、シーツの上に大判のタオルを敷く。
その上に二人はいた。
細い折れそうなイザークの腰をキラが掴み、揺すりあげる。
イザークの良いところにキラが触れると、そのたびにビクッと彼女の体がしなった。
強すぎる快楽に、イザークはキラの肩に爪を立てることでやりすごす。
「イザ…」
「んっ…はぁん…一緒…にっ」
「そうだね、イコ」
キラが、イザークの足を抱えなおし、さらに深く繋がるようにする。
卑猥は水音と二人の荒い息使いだけが、部屋を支配した。
「も…もぅ…だめ」
すでに、キラについていけずに揺さぶられるだけになっているイザーク。
「イクッ」
「イザ…もうちょっと我慢して」
「いやぁぁ…だめ、うごかさ…な・・・で」
深い結合と摩擦に耐え切れず、ビクビクっと痙攣して一足先にイザークが達する。
しかし、キラはまだなので、動くことを止めない。
達した直後の内部は敏感で、動かれるとたまらない快感がイザークを襲う。
「も、ダメ…ヤダ…き・・・キラァ…ん…んーーッ!」
必死に懇願するが、キラもこのまま止まることは出来ない。
しかし、イザークの内部の収縮で、キラも限界が近い。
イザークの足を大きく広げ、キラは一際深く奥を突く。
「っ!」
キラは、イザークの中にすべてを放出した。
「あぁぁぁんッ!!」
イザークは、内部に熱い迸りを感じ、又達した。
そのまま動かなくなるイザーク。
キラがすべてを出し尽くすように何度か腰を動かすが、イザークは動かない。
疲れたのと、気を失ったので、寝てしまったようだ。
そんな彼女の濡れた目じりにキスをして、自身を中から引き抜く。
あふれ出るように流れる、自分と彼女のもの。
彼女の身体をタオルで拭いて、パジャマを着せる。
汚れないように強いたタオルを避けて、それを持ってキラは、シャワーを浴びるために、
部屋にあるシャワールームへ行く。
脱衣用のカゴにタオルや服をいれ、シャワーを浴び、その後また彼女のいるベッドへ戻る。
そして、イザークを抱えて、眠る。
キラはそれがとても幸せだった。
「イザ、もう…朝だよ」
キラの声がイザークの耳元で優しく響いた。
彼の声と同時に目覚ましの音も聞えた。
午前7時。
起床の時間。
「ぅ…ぅん?」
まだ眠くて、擦り寄ってくるイザークの髪の毛を優しく梳くとくすぐったいらしくて彼女は身をすくめた。
「ふふ…今日も元気に働こうね」
ポンポンとキラがイザークの背中を叩いた。
「あぁ」
イザークが眠い目を擦る。
「擦っちゃだめだよ、腫れるよ」
「んー」
「ほら・・・」
キラがイザークの手を取り、自分のほうへ引き寄せた。
そして、イザークの顔をもっと良く見るために、彼女の体を自分の上に乗せる。
「もう、腫れてる。昨日だって結構泣いてたし…」
「なっ…アレは・・・キラが」
昨日の情事を思い出して、イザークが真っ赤になる。
「感じすぎて、気持ちよくて泣いちゃった??」
「キラッ!!」
イザークが怒って、キラの胸を叩いた。
「痛っ・・・ごめん・・・ごめんって!」
思いのほか痛くて、キラがすぐに謝る。
「…もう」
「さて…朝ごはんはなにかな?」
これ以上イザークをからかうと、後が怖いので、キラは話題を変えた。
「マーサが作ってくれるものは何でも美味しい」
「そうだね。っとその前に」
いつもの儀式。
優しく唇を触れ合わせて。
愛の歌を囁く。
「大好きだよ」
そして、今日も一日が始まる。
緩やかに時間は流れた。
世界は落ち着きを取り戻しつつあった。
そうなるまで2ヶ月以上の月日を要したことはしょうがないだろう。
イザークはほぼ全快し、カガリから別の仕事を貰うことになった。
まったくキラと会えないというわけではないが、イザークに合った仕事をカガリが見つけてくれたのだ。
それは、外交においての書類整理という仕事。
イザークはキラと一緒にいるために工学系の学校へ行っていたが、元々は文系。
彼女なら、他国からの書類も上手くまとめてくれると思ったカガリがその仕事を頼んだ。
イザークは文句もなかったし、キラと永遠に離れるわけではないということが判っていたので、それを了承した。
キラと離れて仕事をするようになって、イザークはふと感じた。
今までもそうかもしれないし、此方に帰って来てからも、そういえば言ったことが無かったと。
どれだけキラが好きか。
どれだけ愛しているか。
キラのどこが好きか。
いつも彼から言われるばかりで、自分から言ったことが無かったと。
ちょっと離れたことで、見つかる新しい思考回路。
それは悪い物なんかじゃなくて、むしろ嬉しい発見。
「やさしいところが好き」
ふとベッドの横でイザークがキラに、いや独り言かもしれない、呟く。
「ん?」
その小さな声にも反応して、キラが読みかけの本から目を離し、イザークへと視線を移す。
仕事が終わって、一緒に食事をして、一緒に眠る。
それがいつもの日課。
ベッドに入って、今日お互いにあった出来事について語り合う。
今日は特に何もなくお互い一日が過ぎてしまったので、寝るのにはまだ早い。
キラは読みかけの本を読み、イザークはそんなキラを飽きもせず眺めていた。
そして、唐突にさっきの発言。
「キラの好きなところ。やさしいところ。声が心地いいところ」
キラの茶色い、さらっとした髪にイザークが手を伸ばす。
「うん」
「手も好き。唇も…深い紫の目も」
ひとつひとつ言いながら、イザークがキラの上に乗っかって、手で顔を触っていく。
綺麗で滑らかな指がキラの体を滑っていく。
「抱きしめてくれる腕も…支えてくれる胸も」
「くすぐったいよ」
キラがイザークの手の動きに笑いながらも、その指を自分の手に絡める。
イザークがそれから手を離すように優しく振りほどくと、キラの夜着の上着に手をかける。
一つ一つボタンをはずし、顔を胸に近づけて口付ける。
「…全部好き。キラ」
吐息がキラの胸にかかる。
「愛してる」
心臓にゆっくりと浸透するような声で、イザークが言った。
「愛してるなんて…イザの口からひさしぶり?いや…初めてかも」
「…急に言いたくなった。でも、いつも思ってる」
キラの腹にまたがって、上からイザークはキラに微笑む。
「積極的だし?」
キラの服をイザークが脱がせるなんてことも、初めてだ。
「たまには…」
「じゃあ、今日はイザに頑張ってもらおう・・・かな?」
キラが寝ながら、イザークの腰に手を当てる。
「自分で…ね?」
めったなことをするものじゃないな、とイザークは後悔した。
キラの『自分で』の意味が漸くわかったことにはすでに色々な意味で遅かった。
普段と違う体位は、新たな快感を呼ぶが、それが過ぎるものだと、ある意味恐怖になる。
イザークの体重と重力の力を借りて、いつも以上に深く中に入り込むキラ自身。
普段は届かない所まで届いて、イザークは何度も意識を飛ばしそうになった。
「ぅ…あっ…キラ…無…理…」
自分で。
それは自分で動いてという意味。
イザークはキラの上で、自らキラを受け入れ、腰を動かしていた。
稚拙な動きだが、イザークがしているというだけで、キラ自身は高ぶる一方。
「上手いよ…もっと」
もっと乱れて、動いて、誘って。
キラはイザークの腰を持ちながら、時々下から突き上げてやる以外は何もしない。
それがイザークには焦れったいのだが、自分でということでどうすることも敵わない。
まだ残っている理性が、後一歩踏み込むことを許さない。
「キラ…動いて…キラが…ねっ」
次第に音を上げるイザークに、キラもさすがに可哀相だと思い始める。
「いいよ」
キラが一度自身を引き抜く。
そして身を起こし、自分とイザークの位置を入れ替える。
キラの顔が自分の上に来て、酷く安心した顔をするイザークに、意地悪しすぎたかなとちょっと思うキラ。
「ごめんね?」
優しく覆いかぶさり、イザークの唇にキスをすると、ゆっくりと自身を挿入する。
「んっ…はぁ…」
「頑張ってくれて、ありがとう」
「キ…らぁ…んっ…んふ…あっ」
キラの動きに合わせて、イザークが甘い声を出す。
そして一緒に高みへと上のぼり、落ちる。
イザークは体内に熱いものを感じて、目の前が白くなる。
熱くて逃げたしたいのに、キラの身体に阻まれてそれは勿論出来ない。
彼の灼熱を受け止めて、自身も極みへと持ち上げられていく。
水音とイザークの甲高い声が部屋に響いた。
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