academy3
「付き合ってくれるんだろ?」
「くっそぉ…」
「えーイザーク負けちゃったの!」
「さすが、アスランですね…」
教室でテスト結果が発表された。
テストが終了して、一週間。ついに結果が帰ってきた。
試験初日に体調不良をアスランに助けてもらったイザーク。
その後はいつもと変わらず、不機嫌オーラをアスランだけに発していた彼女だった。
しかし、その場で試験結果がわかる射撃の試験で、アスランとイザークは熱戦を繰り広げた。
二人そろってパーフェクトを連発し、10段階まである試験用の射撃レベルを二人そろってクリアしてしまった。
これでは順位が決められないとあせった教官が、
赤服のルーキーが軍に入隊した時に受ける研修用の射撃テストを慌ててシステムにダウンロードした。
にもかかわらず、それをもあっさりとクリアしてしまったので、サドンデスで勝負をつけることになった。
普通の射撃試験なら30分もかからないはずなのに、
この二人の試験は1時間経っても終わらず、教官が同率一位で終わらせようかと切り出そうとした時、
ついにアスランが一発外した。
「イザークの勝ちだ!」
二人の試験を見守っていたラスティーが思わず叫ぶ。
「やったなイザーク」
ディアッカがヘッドフォンを外したイザークの下に駆け寄り朗をねぎらう。
「ふふん。まだまだだな、アスラン」
汗で濡れた顔をディアッカから渡されたタオルで拭きながら、
隣のブースで同じくニコルからタオルをもらうアスランに向かってそう言い放つ。
「貴様には、負けん!」と、大きな口を叩いたのに…。
「くっそぉぉぉ…まさか、射撃だけだったとは!!」
「どれも僅差なんだけどねぇ…残念だったな、イザーク!次は頑張れよ」
教官のミゲルも、テスト結果の紙を見ながら、のんきに教壇に腰掛けている。
「イザーク…覚えてるよね?付き合ってくれるんだろ?」
「なに、お前らそんな面白い賭けしてたの?」
ミゲルが面白がって、茶化す。
そんなことやっていたとは知らないほかのメンバーも驚き二人を見つめる。
「覚えている!くっそぉ…」
「イザーク?」
ディアッカが後ろを向き、イザークをなだめようとするが、彼女はプルプルと震える拳を勢いよく机に叩きつけ、立ち上がり、
横の席のアスランをキッと睨んだ。
「今回は私の負けだ!認めよう。買い物か?散歩か?どこにでも付き合ってやる!」
そうイザークが言った瞬間、アスランからはため息が。
ミゲルとラスティーは大爆笑だった。
ディアッカとニコルは苦笑い。
「なぜ笑う!!付き合えといったのはアスランだ!えぇ、何がおかしいラスティー」
「うわ、ちょっとタンマ!」
笑われる理由もわからず、さすがにミゲルに掴みかかるわけにも行かないので、
一緒に大笑いしていた斜め後ろの席のラスティーにイザークは掴みかかった。
「おいおい、喧嘩禁止!悪かったイザーク。そうだよな、付き合うって買物だよなぁ…」
さすがに胸倉を掴まれたラスティーが不憫に思えて、ミゲルが慌ててフォローに入る。
「ちっ。判ればいいんだ」
「はぁ…で、アスランはどこに付き合ってもらうのかな?」
災難が過ぎたラスティーが懲りずに前の席のアスランに話しかける。
「じゃあ、とりあえず、買物に…」
「わかった!!」
イザークはある意味約束を守っていた。
「遅いぞ!!」
「ごめん…でも、まだ約束の時間の10分前だよ??」
イザークは、デート(?)の日、律儀に20分も前に来ていた。
大型ショッピングモールの前の噴水。
そこを今回の待ち合わせ場所にした。
「お前…私服のセンスないな」
アスランの私服姿を見て、イザークが一言つぶやく。
確かに顔はカッコイイのに、なぜか洋服のセンスがずれていた。
ズボンは、白ともグレーともつかない、微妙な色。
上着も、その上のジャケットもいまいち。
彼の髪の毛の色と合ってないのだ。
「まあ、いい。で、どこに行くんだ?」
「とりあえず…服を買いたい」
「判った」
それなら、とイザークは自分が好きな店に彼を案内した。
今日の服装を見る限り、アスランはたいしたものを持っていないはずだ。
自分が見立ててやるのもいいかもしれない。
「イザークは…センスいいよね」
目的地に歩きながら、アスランがボソッとつぶやく。
今日のイザークの格好は、白のジーンズに靴は少々底の高いズボンより少々ベージュに近いパンプス。
上着は薄いブルーのタートルネックの長袖。
シンプルながら、きれいにコーディネートされている。
まぁ、元がいいのできっと何を着ても似合うのだろうが。
白は膨張色だと言うが、彼女が着ると長い足がさらに強調される。
「私が、お前に似合うものを見立ててやるから、今日の昼飯は奢れよ」
最初は一緒に買物に行くのを嫌そうにしていたのに、今の彼女はなんだかご機嫌なようだ。
イザークは久しぶりの外出で少々浮かれていた。
アカデミーに入学してからは、なかなか外に出る機会がなかった。
試験勉強や、学校の雰囲気に慣れるまでにイザークはかなりの時間を要していた。
今回アスランにこうして誘われなければ、夏休みになるまで外に出なかったかもしれない。
イザークは、あわよくば自分の洋服も買おうと思っていた。
「此処だ…」
「なんだか…高そうな店だね」
「金持ちが何を言っている、入るぞ」
重厚なガラスドアを押して、イザークはさっさと中に入ってしまった。
ショッピングモールの中でも、一際大きいビルの1階。
ショーウインドーのマネキンの着ている服は、シンプルでありながら、高貴な雰囲気を漂わせている。
カードがあるので、そんなに気にしなくてはいいが、大して量は買えないだろうなぁと思いながら、
アスランはイザークの後に続いて店に入った。
「イザーク様、お久しぶりでござます」
「あぁ」
知り合いなのか、若い男の店員がイザークに寄ってくる。
アスランは、それが少々面白くなかった。
「今日は、ディアッカ様ではないのですね、そちらは…」
「学友だ、彼に似合うものを一式用意してくれ…終わったら、私も一緒に見る」
「かしこまりました、それではお客様、こちらへ」
「はい…」
さっさと話を進められ、アスランは男性用の服売り場へと連れて行かれた。
イザークは、一人で女性物の売り場を散策しにいった。
「まぁ、イザーク様。お久しぶりですわね」
店長である、中年の美しい女性がイザークに話しかけてきた。
顔なじみであり、母の知人でもある彼女は、いつでも自分に合う服を選んでくれ、値段に関しても気を使ってくれる人だ。
「今日は、素敵な男性とご一緒じゃないですか?」
「いや…付き合ってくれと言われてな、なので買物に来た」
「…まぁ…そうですか。イザーク様も、今日は何かご覧になります?」
一瞬、店長の反応が遅れたのは、彼女は本当の意味で、アスランの言ったことを理解したからだ。
しかし、今時こんな純粋な子も珍しいと彼女は思った。
「あ…あぁ、そろそろ暖かくなってきたし、薄手の長袖が欲しいと思って…」
「そうですか、なら、新作が入ってますので、こちらへ」
案内されたのは、シンプルだが、所処にデザイナーの遊び心が含まれた一点物のコーナーだ。
此処は、新人デザイナーの転売も行っており、こういったものは、この店で本来売っているのもよりは若干、
若年層向けであり、値段も手ごろになっている。
イザークは、気になったものを何点か手に持った。
そして、試着室のカーテンを開けて、今来ている服の上からあわせてみる。
初夏らしい、薄いグリーンのもの。
白いワイシャツにニットの淡いオレンジのベストがついているもの。
そして、ワンピースにもなる、水色のシャツ。
三点を当ててみて、店長の支持を仰ぐ。
「どう思う?」
「そうですわね…この、オレンジは柔らかいイメージで女性らしいと思いますわ。
今履いてらっしゃるパンツとも合いますし、ジーンズでもいいと思います。
その、水色も、ワンピースのようになりますけど、パンツと合わせていただくと、大人の雰囲気になりますわね」
「うーん…オレンジかな」
イザークはもう一度、服を当てて、鏡で確認する。
こういう淡い系のものは、持っていなかったが、以外にそこまでニットの色がはっきりしないので、
いいかもしれない。
「シャツだけで着てもいいと思いますし、このニットは夏そのままノースリーブという形でも着られますので、
結構着まわしがききますから、オススメしますわ。値段も手ごろですし…」
「そうだな。ありがとう…これを貰う」
「はい、それでは包ませていただきますね」
「イザーク様!」
アスランについていた、男性店員がイザークの所までよってくる。
「ご友人の服を一通りそろえて着ていただきましたので、よろしければこちらへ…」
「包み終わりましたら、届けますから、どうぞ」
店長の計らいで、イザークはそのままアスランの下へ向かった。
「なかなかいいじゃないか」
試着室から出てきたアスランは、さっきのさえない格好から一転し、
なかなか上手く作り上げられていた。
白いワイシャツには襟に黒いワンポイントのクロスの刺繍。
ジャケットはグレーで、ズボンは黒のジーンズ。
ゴテゴテのようだが、意外としっくり来るので、違和感は無い。
「こういう服着たの初めてだよ」
「うん…これにしろ。あと…そうだな、ジーンズの白と濃い目の紺。半袖のワイシャツと…」
「ちょっと!!そんなに買う金ないよ」
「大丈夫だ…な?」
ニッコリ店員に笑いかけるイザーク、それには店員もさすがに敵わないらしく…。
「勉強させてもらいますよ」
「な?」
再度アスランに笑いかけるイザークに、さすがにもう何もいえなくなった。
アスランは、スッカラカンになりかけている財布を見てため息をついた。
カードを使えばよかったと後から後悔した。
服はあまりにも量が多くなってしまったので、店員に頼んで寮に送ってもらうことになった。
「そろそろ、お腹がすかないか?」
店を出たイザークが、腕時計を見てそういう。
「そうだね、何食べたいの?」
沢山買い物(アスランだが)をしたイザークが空腹を訴えた。
時間も丁度お昼時。
「今日は、イタリアンだな」
「はいはい」
見立ててやるから、奢れとイザークにいわれていたので、アスランは彼女を連れて歩き出した。
ショッピングモールを歩きながら、アスランがレストランを探す。
そして、結構有名なイタリアンのレストランにイザークを連れてきた。
以前、アスランの父のパーティに料理を出してくれた人間の店だ。
「ここ、美味しいよ?」
「…この店に、この格好ではいるのか!!」
イザークでもわかる、この店の外観の雰囲気は明らかに高級店だ。
「なに?大丈夫だよ。知り合いなんだ、以前あったときにぜひ来てくれっていってたから」
「…」
アスランがさっさとレストランのドアを開けて中に入ろうとしているのに対して、
イザークは気後れ(この格好で入りたくない)して、なかなかこちらに来ようとしない。
「大丈夫だって」
アスランは動かないイザークの手をとって、レストランの中に入った。
中では、高級店につき物の案内係が二人を待っていた。
「いらっしゃいま…あぁ、ザラ様でしたか…オーナーが喜びます、少々お待ちください」
案内係の男性もアスランの知り合いのようで、二人をおいて奥へと入っていった。
少しすると、コックが案内係と戻ってきた。
「アスラン、久しぶりだね。パトリックは元気かな?」
「スミスさんお久しぶりです、父は相変わらずですよ。今日はランチを食べにきました」
かなり親しい知人のようで、二人は笑顔で会話をして握手をする。
「そうか、おや?そちらのレディーは?」
イザークの存在に気づいて、スミスがアスランに尋ねる。
「アカデミー同期生のイザーク・ジュール嬢です」
「あぁ、エザリア女史のご息女でしたか。はじめまして、スミスと申します。
今日は気兼ねなく、ごゆっくり私の作る料理を楽しんでくださいね」
スミスはイザークの手をとって、自らVIPルームの個室に案内した。
「任せてもらっていいのかな?アスラン」
「えぇ、お願いします」
スミスはイザークの椅子を引き、案内係はアスランの椅子を引く。
二人がけには大きめのテーブルと日の光がやさしく降り注ぐ窓。
この個室はかなり、緻密に設計されたようで、二人はとても居心地良く感じた。
「それじゃあ、少し待っててくれ」
スミスは、イザークに一礼して、個室を去った。
「はぁ…良かった」
誰もいなくなった部屋に、イザークのため息がこだまする。
「大丈夫だって言ったのに、わかってくれないんだから。彼は父の古くからの友人なんだ」
「へぇ…さすがだな」
その後、見た目も味も最高においしい料理が運ばれてきた。
アスランとイザークではちょっとずつだが、料理の内容も違っていて、
肉よりも魚の好きなイザークは大満足だった。
何より、デザートが美味しかったのがイザーク的にはうれしいことだった。
「満足してもらえた?」
アスランは甘いものがあまり好きではないので、食後のエスプレッソを飲んでいた。
それを飲み終えて、ナプキンで口元をぬぐう。
イザークも、最後のフルーツを食べ終えた。
「あぁ…また、来たいと思うぐらい美味しかった」
ライバルのアスランの前だというのに、イザークはあまりの料理の美味しさにすっかりそのことを忘れて、ニコニコしている。
「じゃあ、帰ろうか。ちょうどいい時間なんじゃない?」
「そうだな、あぁ、帰る前に本屋に寄ってくれ。本が見たい」
「わかった、じゃあ行こうか」
二人は立ち上がって、個室を出た。
外では案内係が待機していて、二人から預かっていたバックや上着を用意してくれ、
その間に、スミスがやってくる。
「美味しい料理をありがとうございました」
イザークがペコッっと頭を下げる。
「いやいや、気に入っていただけてよかった。あぁ、良かったら、これを…」
スミスは可愛らしい包装の大きめの袋をイザークに手渡した。
「焼き菓子なんだが…帰ったらアスランやほかの友人達とお茶の時に」
「ありがとうございます」
イザークはそれを受け取り、スミスと握手をして、一度お店の外に出た。
アスランは会計を済ませるために、入り口で案内係カードを手渡す。
「突然押しかけて、すみませんでした。おいくらですか?カードでお願いしたいんですけど」
「今日は結構ですので…」
案内係はカードを受け取らない。
「え?いや、それは…」
「今日は、いらないよ。前々からくるようにせがんだのは私だからね」
後ろからスミスがそう声をかける。
「でも…」
「いいんだよ、あんなに美人な彼女と来てくれてうれしいよ」
「いえ、彼女じゃありませんよ…まだ」
残念ながらといって、アスランが困った顔をする。
「まだ…ね。じゃあ、この会計は彼女がアスランの本当の恋人になった時までとっておこう」
スミスが軽くウインクをして、アスランを見送った。
「本当に美味しかった。また来よう」
本屋への道のり、イザークは終止ご機嫌だった。
「そうだね。本屋はあそこでいいの?」
アスランが指差した方向には、このショッピングモールで一番大きな書店だ。
「あぁ、お前もなんか見るか?」
「そうだな…なんか見てようかな」
二人は30分たったら、入り口で落ち合う約束をして、ばらばらに分かれた。
30分後アスランは先に入り口に戻っていた。
以前から読みたいが、買うほどではないと思っていた雑誌を見つけてそれを一通り読んだ後、
まだ時間があることを確認して、ほかの科学雑誌を読み、入り口に戻った。
少し遅れたかと思ったが、イザークはいない。
何しろこの書店は規模も大きく、欲しい本を探すのは容易ではないので、
アスランはもう少し入り口のベンチに座ってイザークが来るのを待った。
しかし、15分を過ぎてもイザークは中々来ない。
アスランは心配になって彼女の様子を見に行った。
この書店はかなりの規模のため、探すのは大変だが、大体彼女の趣味はわかるので、その階を目指す。
しかし、その階に彼女の姿は無い。
思い立ってアスランは携帯を取り出すが、アスランは彼女の電話番号を知らない。
「はぁ…どこに行ったんだろう」
アスランはあたりを見渡す。
しかし、彼女の姿は無い。
仕方なくアスランは一度、約束した入り口へと戻ることにした。
そこでもう少し待って、それでも戻らなければ、一度ニコルに電話して、ディアッカにでも彼女の電話番号を聞こう考えた。
「いい加減…て…いって」
「いい…おま……ルだ……よ」
遠くから、大きな声が聞える。
それは入り口で、アスランがイザークと待ち合わせしていた場所だった。
大声がするほうには、人垣が出来ている。
「まさか…」
アスランは人垣を掻き分けて、騒ぎになっている中央部分へと入っていった。
「人を待っていると言っている」
「お前は、先輩に対してそういうことを言うのか??えぇ?」
「上級生には、それなりの態度をとってほしいなぁ…えぇ?新入生のイザークちゃんよ」
イザークは多分上級生なのだろう、二人組に囲まれていた。
背の高いイザークよりも、さらに二人の方が頭一つ分は高い。
だが、そんな相手に、イザークは今にも拳を振り上げそうな形相で睨んでいた。
「なんだと?私を馬鹿にするのか!!!」
「まずい」
このままでは、彼女はあの絡んでいる上級生達をボコボコにしかねない。
アスランは慌てて彼女と上級生の間に入った。
「先輩方…人の彼女に手を出さないで下さい」
「「ザラ!!」」
突然のアスランの登場に、上級生が一瞬引く。
イザークも突然アスランが現れて驚いた。
「先輩方、他の人の迷惑です」
アスランが低い声でそういうと、渋々と上級生が下がっていく。
しかし、見物人はまだアスランとイザークの様子を見ていた。
アスランは、このままここにいると色々問題が起こると思い、後ろに庇ったイザークの手をすばやく取った。
「なにす・・・オイ!」
イザークの静止も聞かずに、アスランはとりあえず此処から去るために、彼女の手を引き本屋を出た。
「なんであんな・・・聞いてるのか、アスラン!!!!」
本屋から出て、そのまま寮まで歩いて戻ってきた。
公共の場ではさすがにイザークも文句を言わなかったが、寮に帰った途端、イザークはアスランに文句を言った。
玄関での言い争いは、他の部屋までは聞えないが、寮入り口に近い娯楽室にいた、者には丸聞こえだった。
しかし、娯楽室にいたラスティーとニコルは、毎度のことだと気にせずに、また話に花を咲かせた。
「公共の場で、君は俺達の学校の恥を晒すのか?」
確かに、自分達はアカデミーの学生で、将来軍人として人々を守る役職につく。
そういう立場になる自分達が、公共の場で騒ぎを起こすことは、あってはならないことだ。
「それは・・・悪かったと思っている。だが、なんだアレは!!誰が誰の彼女なんだ!」
イザークが怒っていたのは、仲介のことではなかったようだ。
「あぁ・・・仕方ないだろ?ああやって言っておけば、たいていは引くよ」
「だが、あんなにギャラリーがいるなら、止めるべきだった・・・誤解を招く。
お前も変な噂が立つと迷惑だろう?・・・私も、迷惑だ!」
イザークはまくし立てるように、言い切った。
迷惑。
その言葉にアスランが反応した。
なんで、彼女はわからないのだろう。
付き合うの意味もわからない。
保健室へ連れて行ったのだって、心配だったから。
何でそれが判らない。
アスランは、次第にイライラしてきた。
「君は・・・わからなさすぎだ」
玄関で。
アスランはイザークを引き寄せて、その唇を奪った。